はじめに
MBTIの各性格タイプに関して、下記観点からまとめておこうと思う。
- 世間の印象
- 主機能と補助機能の特徴と、判断プロセス
- 周囲に与える印象
- 劣等機能と劣等機能の強化方法
- コミュニケーションの特徴
- ストレス時の反応と改善のためのポイント
今回は、ENFJについて。
ENFJに対する世間の印象
ENFJでググってみると、関連検索として「ENFJ モテる」「ENFJ 性格悪い」「ENFJ 人たらし」などが出てくる。
「主人公」と称され、有名人では、バラク・オバマ、ショーン・コネリー、ジェニファー・ローレンスなどが挙げられる。
ENFJ:内向直観を伴った外向感情タイプ
ENFJの認知機能は発達している順番に下記
- 主機能(自分で最も気づいている機能):外向的感情(Fe)
- 補助機能(十分機能していても、自分で気づきにくい機能):内向的直観(Ni)
- 第三機能:外向的感覚(Se)
- 劣等機能:内向的思考(Ti)
各認知機能がどのように個人の知覚と行動に影響を及ぼすかを、一言で表すと下記
認知機能 | 内向 (i) | 外向 (e) |
直観 (N) | パターン認知 – 内面での洞察と未来予測 | 新しい可能性の探索 – アイデアと抽象概念の探求 |
思考 (T) | 論理的分析 – 内面での理論の構築と思考の整理 | 客観的判断 – 効率と公正さを求める意思決定 |
感情 (F) | 深い共感 – 個人的感情や価値観の深い理解 | 社交的調和 – 他者との感情的なつながりの形成 |
感覚 (S) | 現実の詳細 – 内面での具体的な記憶と体験の反映 | 実際の体験 – 外部世界との直接的な交流と行動 |
Fe-Ni:未来のビジョンを自分の中で考え、それを他者の感情やニーズを優先しながら実現しようとする
主機能と補助機能の特徴と判断プロセス
外向的感情(Fe):他者の感情とニーズを優先する
他人が何を感じているのか、何を必要としているのかを敏感に察知し、それに応じた行動を取る。例えば、グループの中で誰かが困っていることに気づいた場合、すぐにその人を助け、全体の調和を保とうとする。
内向的直観(Ni):未来のビジョンを考える
内向的直観(Ni)を使って、長期的な視点から未来のビジョンや目標を考える。現在の行動が未来にどのような影響を与えるかを洞察し、長期的に見て最善の結果をもたらす方法を見つけ出す。
Fe-Niの組み合わせにより、ENFJは他者を支援しながら、長期的な目標を達成するために必要な行動を取る。
ENFJは外向型(E)であり、計画的で秩序を重んじる(J)性格を持つため、社会に馴染むのは比較的容易。しかし、内面にはN型(直観型)特有の深い信念や価値観を持っており、かつ、他者の感情やニーズに敏感であるため、自分の深い信念を表現することが他者との調和を乱す可能性があると感じることがある。そのため、自分の信念を表現することにためらいを感じ、生きづらさを感じることがある。
ENFJとENFPの違い
ENFJとENFPは共に外向的で感情を重視する性格タイプだが、認知機能の組み合わせや行動の優先順位に違いがある。
ENFJは外向的感情(Fe)を主機能とし、他者の感情やニーズを優先しながら、未来のビジョン(Ni)を考える。一方、ENFPは外向的直観(Ne)を主機能とし、新しい可能性やアイデアを探求しながら、自分の内面的な価値観(Fi)に基づいて行動する。ENFPの方が「自分がどう思うか」を重視する。
あと、PとJの違いもあり、ENFPはどちらかというと飽きっぽく、結果が見えてくると、やる気がなくなるのに対して、ENFJは計画を立ててきっちり最後までこなす。
ENFJは達成するビジョンが見えないと挫けがちだが(Ni)、ENFPはまずやってみようと行動し、興味があることを次々と探求する傾向がある。
ENFJとINFJの違い
ENFJとINFJは、ともに同じ主機能と補助機能を持つが、優先順位が異なる。EとIの違いにより、ENFJはグループ活動や社会的なイベントに積極的に参加し、INFJは一対一の深い関係を築くことを重視する傾向がある。
例えば、職場で新しいプロジェクトが始まるとき、ENFJは全員の意見を集め、みんなが満足できるようにプロジェクトを進める。定期的なミーティングを開き、チームメンバーが抱える問題や意見を聞きながら、みんなが協力しやすい環境を整えようとする。
一方で、INFJはまず自分の中でプロジェクトの長期的なビジョンを考え、それに基づいた戦略を練る。その上で、重要なチームメンバーと一対一のミーティングを行い、それぞれの役割や責任を明確にする。1:1で個別に深い信頼関係を築くことで、メンバーが安心して自分の役割を果たせるようサポートしようとする。
周囲に与える印象
- 共感的で思いやりがある: ENFJは他者の感情やニーズに敏感で、共感力が高く、他人をサポートする姿勢が強い。周囲の人々からは、優しくて親しみやすい人として見られることが多い。
- リーダーシップに優れている:自然なリーダーとして、チームやグループをうまくまとめ、目標に向かって導く力がある。他者を励まし、動機づける能力があり、周囲から尊敬されることが多い。
- 社交的でフレンドリー:人と接するのが好きで、社交的でフレンドリーな態度を持つ。初対面の人ともすぐに打ち解けることができ、社交的な場での人気者になりやすい。
- 過度に干渉する:他者を助けたいという強い願望があるため、時には過度に干渉してしまうことがある。これが周囲に対して押しつけがましく感じられることがある。おせっかい・世話焼き過ぎにならないように注意が必要。
ENFJは共感力が高く、リーダーシップに優れ、社交的でカリスマ性を持つ一方で、自己犠牲的になりやすく、人に感情移入しすぎるため、人が抱えている問題に深入りして、過度に干渉する傾向がある。
個人的にはENFJは、バラク・オバマの有名な大統領演説「Yes! We can!」に集約されると思う。未来に対して理想を持ち、みんなで実現しようというENFJの意識を的確に体現しているかのよう。
劣等機能の内向的思考(Ti)を強化するには
ENFJの劣等機能は内向的思考(Ti)。この機能は、情報や概念を内面的に分析し、論理的整合性を追求する機能。物事を一貫した体系として理解しようとし、矛盾を排除することを重視する。Tiは、科学的な研究、プログラミング、問題解決、論理的な議論など、多くの分野で重要な役割を果たす。
ENFJは他者との共感や感情に基づいた意思決定を優先するため、客観的なデータや論理的な分析に基づいた意思決定が難しいと感じる場合がある。
論理的思考力を鍛える
論理的思考を必要とする活動に参加する。例えば、チェスやパズル、数独などのゲームを定期的に行う。
データや事実に基づく意思決定を学ぶ
日常生活で意思決定を行う際に、データや事実を収集し、それに基づいて判断する練習をする。例えば、家計の予算管理や健康管理のためのデータ収集と分析を行う。
批判的思考を養う
日常生活で情報を評価する際に、批判的な視点を持つように心がける。例えば、ニュース記事や科学的な報告を読んで、論理的に疑問を持つ点や事実を確認する方法を学ぶ。
ちなみに、この内向的思考(Ti)が最も発達しているタイプは、ISTPとINTP。ISTPとINTPは、論理的な分析や内面的な論理体系の構築に優れている、というか自然にできる。
ISTPやINTPの物事に対する考え方やアプローチ、論理的な話し方などは、ENFJがバランスを取る上で役立つかもしれないし、参考になるところも多いだろう。
コミュニケーションの特徴
- 自分の信念に基づく正しいことを主張しがち:自分の信念や思いにすることを言われると、しっかり言い返しがち。何かが不公平であったり、間違っていたりすると思った場合は、それについてはっきりと話す。
ストレス時の反応と改善のためのポイント
ENFJはストレスに晒された時、主機能である外向的感情(Fe)が過度に発現したり、普段あまり使われていない劣等機能である内向的思考(Ti)が浮上してくることで、一連の典型的な反応を引き起こすことがある。
ストレス時の反応
- 自己犠牲的になりがち:他者のニーズや感情を優先するあまり、自分のニーズを後回しにすることがある。この自己犠牲的な態度が、ストレスや燃え尽き症候群につながることがある。
- 他者の承認に依存しがち: 他者からの承認や評価に敏感で、それに依存しがちな面がある。周囲の期待に応えようとしすぎて、自分の価値観やニーズを見失うことがある。
- 感情的になりやすい:感情に強く影響されやすいため、感情的になりやすいことがある。ストレスやプレッシャーがかかると、感情のコントロールが難しくなることがある。
- 過度な論理的分析:Tiが不健全に浮上すると、通常の直感や感情に基づいた判断ができなくなり、過度に論理的に物事を分析しようとすることがある。これが行き過ぎると、冷淡で批判的な態度を取ることがある。
- 人生の意味に悩みがち:ENFJは元々、自分の価値観や社会的意義、使命などに対して大きな期待と可能性を持っている。他者の感情やニーズに敏感で、社会に対して積極的に貢献しようとする。しかし、ストレスがかかると、その特性が逆転し、「自分の存在意義は何か」「自分の人生に本当に意味があるのか」といった深い哲学的な問いに悩みがちになる。
- 理想の暴走:ENFJは自分の考えている理想に自信があるため(第二機能のNi)、それを第一機能のFeを通じて、相手にとって良かれと思い相手の意思を確認しないまま、勘違いしたことを実行してしまうことがある。それに対して、相手が感謝の意を示さないと、なんで分かってくれないんだろう?となり意気消沈する
改善のためのポイント
- 境界設定の練習:他者との健全な境界を設定し、過度な自己犠牲を避ける練習をする。必要なときには「ノー」と言う勇気を持つことが重要。週に一定の時間は自己ケアに使うと決めるのも良い
- 論理的思考のバランス:論理的な分析を適度に取り入れる練習をするが、それが過度にならないように注意する。例えば、意思決定の際に事実やデータを参考にするが、最終的には自分の直感や感情も考慮する。
- 現実的な目標設定:理想と現実のギャップを埋めるために、現実的で達成可能な目標を設定する。小さな成功体験を積み重ねることで、自己評価を高め、ストレスを軽減することができる。
ENFJは、世の中や自分の可能性、価値観に大きな期待を寄せ、それを発揮したいと強く願っている。主機能である外向的感情(Fe)を通じて他者に対する共感力が非常に高く、人々の感情やニーズに敏感。しかし、共感が過度になるとおせっかいや世話焼きと見なされることがある。また、Feが主機能であるため、他者との関わりやグループ行動を好み、社会的な調和を重視する。
一方で、補助機能である内向的直観(Ni)により、自分の中には常に未来のビジョンや理想がある。このビジョンが現実と乖離することに気づいた時、深い落胆やストレスを感じることがある。ENFJは、現実が思うように変わらないことや、自分の理想と現実とのギャップに悩むことが多い。それでも、他者を助けたいという強い意志と自分のビジョンを実現するために、努力を続ける。
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