はじめに
MBTIの各性格タイプに関して、下記観点からまとめておこうと思う。
- 世間の印象
- 主機能と補助機能の特徴と、判断プロセス
- 周囲に与える印象
- 劣等機能と劣等機能の強化方法
- コミュニケーションの特徴
- ストレス時の反応と改善のためのポイント
今回は、INTJについて。
INTJに対する世間の印象
INTJでググってみると、関連検索として「INTJ あるある」「INTJ 殺意の目」「INTJ 女性」「INTJ 建築家」「INTJ 相性悪い」「INTJ 怒り方」「INTJ 秘密主義」「INTJ 戦略家」などが出てくる。
あまり世間の印象は良くないようだ。
「建築家」と称され、有名人では、イーロン・マスク、マーク・ザッカーバーグ、ニーチェなどが挙げられる。
Ni-Te:外向思考を伴った内向直観タイプ
INTJの認知機能は発達している順番に下記
- 主機能(自分で最も気づいている機能):内向的直観(Ni)
- 補助機能(十分機能していても、自分で気づきにくい機能):外向的思考(Te)
- 第三機能:内向的感情(Fi)
- 劣等機能:外向的感覚(Se)
各認知機能がどのように個人の知覚と行動に影響を及ぼすかを、一言で表すと下記。
認知機能 | 内向 (i) | 外向 (e) |
---|---|---|
直観 (N) | パターン認知 内面での洞察と未来予測 | 新しい可能性の探索 アイデアと抽象概念の探求 |
思考 (T) | 論理的分析 内面での理論の構築と思考の整理 | 客観的判断 効率と公正さを求める意思決定 |
感情 (F) | 深い共感 個人的感情や価値観の深い理解 | 社交的調和 他者との感情的なつながりの形成 |
感覚 (S) | 現実の詳細 内面での具体的な記憶と体験の反映 | 実際の体験 外部世界との直接的な交流と行動 |
INTJは、外向思考(Te)を用いて内向直観(Ni)に基づいて物事を判断するというプロセスをとる。
Ni-Te:自分のビジョンを実現させるための合理的な行動をとる
内向的直観(Ni):パターン認知
内向的直観(Ni)は、INTJが未来のビジョンや深い洞察を持つのを助ける。長期的な予測や計画を立てる内部のGPSのようなもの。Niを使うことで、INTJは長期的な目標や理想を明確にし、それに向かって進むための道筋を内心で描いている。彼らは将来起こり得るシナリオを想像し、それに基づいて今何をすべきかを決定する。
外向的思考(Te):客観的判断
外向的思考(Te)は、そのビジョンや計画を具体的な行動に移すために役立つ。Teは効率的で組織的な思考を促し、目標達成のために必要なステップを実用的に配置する。この能力によって、INTJは計画を現実のものとして実行するための具体的な戦略を立てることができる。
この組み合わせにより、理想と現実の間のギャップを効果的に橋渡しすることができ、より実行可能で効率的な戦略を立てることが可能になる。ビジネスの戦略立案や、科学的な研究、個人のキャリアパスの計画などに強みを発揮できる。
INTJとENTJの違い
INTJとENTJは、ともに内向的直観(Ni)と外向的思考(Te)を主要な認知機能として持っているが、これらの機能の優先順位が異なる。
INTJはより内省的で熟考を重ねる傾向(主機能Ni)があり、長期的なビジョンに基づいて計画を進めることが多い。一方、ENTJはより積極的で直接的なアプローチ(主機能Te)を取り、目標達成のために環境を積極的にコントロールする。
ビジネスへのインパクトの観点では、短〜中期の目標に向かって自分だけではなく周りを巻き込んで進めていくENTJに分がありそう。しかし、INTJは途方もない遠大な長期目標に向かって数十年単位で成し遂げる可能性もあり、とてつもない偉業を成し遂げる可能性もある。
INTJとINTPの違い
INTJとINTPはどちらもNT族で、知識に貪欲である。ただし、INTJが自分が達成したい目標に必要な情報を逆算で収束的に収集していくのに対して、INTPは自分の興味関心をもとに発散的に情報を収集する。このアプローチの違いから、INTJの方が系統立てて情報を整理し構築しているのに対して、INTPの方がより幅広く混沌とした状態で情報をストックする傾向がある。もしかしたらINTPの方が、異なる点と点をつなげてアイデアのインスピレーションを得る範囲はINTJよりも幅広いかもしれない。
一方で、INTJは目的のためなら何がなんでも完遂する志向性はINTPより強く(JとPの違い)、形となった物事を成し遂げている可能性が高い。数学者や科学者などの創発的なプロセスにINTPが多く(アインシュタイン・ニュートンなど)、出来上がった論理や要素技術をもとに実際のサービスを作る過程でINTJが多い(イーロンマスク・ザッカーバーグなど)のも、もしかしたらアプローチの違いが関係しているかもしれない。
INTJの周囲に与える印象:戦略的かつ長期的
INTJが周囲に与える印象は、その主要な認知機能である内向的直観(Ni)と外向的思考(Te)に大きく依存する。
- 戦略的かつ長期的な思考者:内向的直観(Ni)を使用して未来のビジョンを構築し、長期的な目標に向けた計画を練るため、非常に戦略的な思考をすると認識される。
- 効率を重視:外向的思考(Te)により、目標達成のために最も効率的な方法を求める。プロセスやシステムを最適化することに注力し、時間やリソースの無駄を嫌う。
- 自立心が強い:自分自身の内部のビジョンに基づいて決断し、行動するため、独立心が強いと見られる。他人の意見よりも自己の判断を優先する傾向がある。
- 解決志向:問題に直面した際、解決策を迅速に見つけ出す能力がある。具体的な解決策を提案し、行動に移すことが得意。
- 冷静かつ客観的:感情に流されることなく、冷静で客観的なアプローチを取るため、合理的で理論的な印象を与える。
- 秘密主義:個人的な情報や感情をあまり外に出さないため、秘密主義であると感じられることがある。これは、自分の内部の世界を他人と共有することに慎重であるため。
- 厳格な基準:高いパフォーマンスや品質に対する厳格な基準を持ち、自分自身や他人に対しても同様の期待を持つ。これが時に厳しいまたは批判的と見なされる原因になることもある。
- 孤立を好む傾向:独立した活動を好み、他人との深い関係を築くよりも、自分の仕事やプロジェクトに集中することを好むため、孤立していると感じられることがある。
INTJは外界の情報を、時系列的な過去および、横断的な情報含めて、頭の中で関連づけて、具体を抽象化して整理するのが得意という印象。そして抽象化した内容を具体化して実行していく。あと、1つの事象から、すでに関連づけられたパターン認識を通じて、かなり先の起こりうることまでを予測して、チェスや詰め将棋のように駒を進めていく感じで物事を遂行していくイメージがある。
『最終的に一番頼りになるのは自分自身』と根本的に思っているのだが、意外と(?)柔軟で、目的達成のためなら手段を選ばない、というか、柔軟に自分を改変することすらできる。自分より特定の分野でできる人がいると、「これは自分より、この人に任せた方が早いな」と合理的に判断し、臨機応変に相手に任せることができる。ただ、基本的には大勢の人と働くのはコミュニケーションコストが増えると考え、少数精鋭のグループで仕事に取り組みがち。
ちなみにINTJの究極はイーロンマスクである。強迫観念に取り憑かれたかのように、目的に対してひたすらに遂行していく。その人生が良いかどうかは、、、イーロンマスク自身もインタビューで「それほど良いことではありません。皆が思うような、そんな楽しいことではありません。私でさえ私になりたいかどうかは分かりません。」と回答している。
あと、創造的なフェーズ(0→1)が終わると、関心を失いがち。
劣等機能である外向的感覚(Se)を強化するには
劣等機能である外向的感覚(Se)が相対的に最も発達していない。
外向的感覚は現在の環境や物理的な感覚に焦点を当て、即座に反応する能力を高めることを目指す。日常的にはあまり使われないこの機能を強化することで、INTJはよりバランスの取れた視野を持つことができる。
「いまここ」に焦点を合わせる方法
グループトレーニングプログラムへの参加
- ラフティングやチームスポーツなど、集団での物理活動は瞬間的な判断や体を使った対応が求められ、外向的感覚を養うのに適している。これにより、現実の状況への即座の対応能力が鍛えられるとともに、社交的なスキルも向上する。
瞑想やマインドフルネスの実践:
- 現在の瞬間に意識を集中させる瞑想やマインドフルネスは、外向的感覚を発達させるのに役立つ。通常の日常生活から一時的に離れ、現在に集中することを促す。
新しい趣味を取り入れる
- 写真、料理、ガーデニングなど、感覚的な詳細に注意を払う活動は、外向的感覚の発達に貢献する。
旅行や新しい環境へ出かける
- 異なる文化や環境に身を置くことは、新しい感覚的経験を提供し、即座に適応する必要がある。これは外向的感覚を活用し、その発達を促す。
異なるタイプを尊重するために、学ぶ必要があること
ちなみに、外向的感覚(Se)が最も発達している性格タイプは、ESTPとESFP。どちらのタイプも、現実の瞬間を生き、「いまここ」を楽しむことができる。常に、頭の中で先々のことを無意識に考えてしまうINTJにとって、彼らの、現実の瞬間をダイナミックに捉え、行動する姿や姿勢は参考になるところも多いだろう。
https://kazulog.fun/note/esfp-entertainer
論理的な分析は万能ではないということ、ときに好意的な態度をとる方が、人の考えを効果的に変えられるということを、INTJは異なるタイプを尊重するために学ぶ必要がある。
コミュニケーションの特徴:戦略的かつ直接的
- 目的意識が強い: INTJはコミュニケーションを具体的な目的の達成の手段と見なすため、無駄な話を避け、効率的な情報交換を好む。
- 論理的かつ直接的: 理論を事実に基づいて検証し、厳しい質問を投げかける傾向がある。このスタイルは非常に直接的で、時には他者に対して厳しく映ることがある。
- 寛容だが敏感ではない場合も: 他者の考えや意見に寛容でありながら、他者の感情に対しては必ずしも敏感ではないことがある。
- 戦略的思考: INTJは常に全体的な計画や長期的な目標を念頭に置いてコミュニケーションする。彼らは議論や会話を通じて、これらの大局的な目標にどのように貢献するかを評価し、そのための戦略を練る。
- 洞察力がある: INTJは洞察力に優れ、話されている内容の背後にある意味や模様を見抜く能力がある。彼らはこの洞察力を活用して、コミュニケーションの中で重要なポイントを素早く把握し、それに基づいて行動を起こす。
- プライベートな話題を避ける: 個人的なことや感情的な話題には消極的で、ビジネスや目的に直結した話題を好む。このため、他人とのコミュニケーションで感情的な接点を見つけるのが苦手な場合がある。
ストレス時の反応と改善のためのポイント
INTJはストレスに晒された時は、彼らの主機能である内向的直観(Ni)が過度に発現されたり、普段あまり使われていない外向的感覚(Se)が浮上してくることで、一連の典型的な反応を引き起こすことがある。
ストレス時の対応
- 過度の孤立: 通常は独立心が強いINTJも、ストレスを感じるとさらに孤立を深め、他人とのコミュニケーションを避けがちになる。
- 悲観的な考え: 長期的な計画が妨げられたり、目前の障害に直面すると、悲観的な未来観に陥ることがある。これは、主機能である内向的直観(Ni)が過度に発現された結果であり、過度に内省的になり、悲観的な未来のシナリオに囚われがちになることによる。通常の創造的で洞察力のある思考が、過度に内向きで閉塞感のあるものへと変わる。
- 衝動的行動: 通常は計画的で制御された行動をとるINTJが、突然衝動的でリスクの高い行動をとることがある。これは、ストレス時に普段あまり使われていない外向的感覚(Se)が浮上してくることにより、Seが未発達だと、衝動的で無計画な行動として表出されることによる。
改善のためのポイント
- 感情的な配慮: コミュニケーションの際には、相手の感情や個人的な考えに注意を払うことが重要。これにより、より包括的で柔軟な対話が可能になり、相互理解と信頼の構築につながる。
- 友好的な態度の維持: 理論を事実に基づいて検証する際に、他者に友好的に接したり、個人的な考えや相手の気持ちを考えながら伝えるように気をつける必要がある。
INTJはしばしば自己の内面に焦点を合わせるため、外部からの意見やフィードバックを受け入れることが少ない傾向にある。定期的に信頼できる人々から建設的なフィードバックを求めることで、自己認識を深め、視野を広げることができる。
また、独立心が強いINTJにとって、チームでの協力や他者との協調は挑戦であることが多い。共同プロジェクトやチーム活動に積極的に参加し、他者との意見の調整や協力する能力を育てることが、後で活きてくることもある。
コメント
[…] さらに読む ⇒かずログ出典/画像元: https://kazulog.fun/note/intj-architect/ […]