この連載記事では、当時ビジネスを全く知らなかった私(かず)が、初めて医療業界のSaaS「メルプWEB問診」を立ち上げて、約3年後に約200医療機関にサービスを導入した0→1終了のタイミングで2020年に株式会社JMDCに売却するまでの話です。当時、何を考えていたのか、失敗したこと、うまくいったことを振り返っていきます。圧倒的にリアルで生々しい、メルプのリアルを一緒に見ていきましょう。
以前こちらの記事で、メルプは開発当初、LINEベースの予約・問診サービスとして開発したことを書きました。
東京都医師会でメルプをプレゼンする機会
サービスのリリースを Facebook なので告知した際に、学生の頃よりお世話になっている東京都医師会の理事の先生より「今度東京都医師会のイベントで開業医の先生方が100人近く集まるので、そこでブース出展してサービスの宣伝もしたらどう?」 という、ありがたいご提案をいただきました。
私は、「こんなに良い機会はないだろう」と思い、早速下記のような両面1チラシを作って100部ほど印刷して、意気揚々と当日展示会場に向かいました。確か、2017年4月くらいだったと思います。
私達の他にも、医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」など2,3社がブース展示をしていました。
当日は、13時くらいからイベントが始まり、診療報酬改定を中心に2,3時間くらい話が続いていたのですが、最後の方に司会の方から「本日ブース展示をしている企業が数社ありますので、それぞれ1分ほどサービスのご紹介をお願いします」と話題を振られました。
私は、「LINEのチャットボット機能をベースとした医療機関の予約・問診・アンケートサービス「メルプ」を提供しております株式会社flixyの吉永と申します。少しでもご興味を持たれた方はまずはお話だけでもお気軽にご連絡ください。」というようなことを言いました。
ふぅ、今日はこの一言を言うために来たようなものだけど、無事終わってよかったぁ。とホッとしたのも束の間、全企業のプレゼンが終わった直後、医師会の方より
「みなさん、サービスのご紹介ありがとうございました。東京都医師会では不特定多数のSNSプラットフォームを医療機関で利用することは非推奨としています。メルプさんは、LINEベースのサービスということですので、その点ご留意ください。例えば、ソフトバンクが提供しているヘルスケア専用SNS「メディカルケアステーション」など、医療従事者のみのクローズドに提供しているサービスをご利用することを推奨しています。」
と、参加者の開業医全員に話されたのを聞いて、
「えーーーーーー!!なにこれ!オワタ」
と頭が真っ白になりました。完全にプレゼンしてディスブランディングになってるじゃん。これからどうするよと。
頷いている医師の方もちらほらいるし、終わったな。
まさかこのような結果になるとは思ってもいませんでした。
ちょうどタイミングも悪く、芸能人のプライベート情報がLINEから流出してニュースで話題になっていたこともあり、「LINEはセキュリティ的に危なそう。」という意識がなんとなく広がっていたのもマイナスでした。
ディスブランディングに半年近く悩まされることに
そもそも、当時のサービスはPMFを達成していなかったので、それが原因で売れなかったのですが、ここにきてLINEベースというのも根本的に見直さないといけないという、新しい課題が降ってきました。
「LINEのメルプ=セキュリティ的に危なそう」
というディスブランディングなイメージをどう払拭すれば良いか。
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