過去にTwitterのタイムラインで流れてきて目に留まった記事。
アメリカ人を対象にした10年間(2009〜2019年)の調査に基づき、年齢に応じて変化する人間関係について論じている。
調査対象人数がパッと見わからなかったので、対象人数次第では信憑性に疑問符がつくが、10年間アンケート調査し続けている点がすごい。さまざまな年齢の調査回答者がインターネットで報告した平均時間を表にしている。
https://ourworldindata.org/grapher/time-spent-with-relationships-by-age-us
アメリカ人の10年間にわたる調査結果
関わる人の多様性(職場の同僚・パートナー・子供など)という観点では、40 歳前後で最も多くなり、40 歳を超えると一人で過ごす時間が増加していく。40歳までは発散していき、40以降は収束していく。
両親、兄弟、姉妹と過ごす時間は、15歳から急激に減少し、35歳を超えるとかなり少なくなる。
子供と過ごす時間は、35歳をピークにしてそこから急激に減少する。
パートナーと過ごす時間は晩年になるにつれて増える。
友達と過ごす時間は16歳ぐらいがピークであり、職場の同僚とは長い時間を共にする。ひとりで過ごす時間は晩年にかけて増え続ける。
年齢とともに変わる人間関係
この調査では、子どもやパートナーと過ごす時間も含まれているが、結婚しない人もいるし、子供持たない人もいるが、全てを平均した結果という意味。平均なので、もちろん全員が当てはまるわけではない。
家族:15歳から急激に減少し、35歳を超えるとかなり少なくなる。
- 大学入って親元離れたり、その後、結婚して新しく家庭を作ったりすると疎遠になりがち。特に仕事が故郷と別の場所だと、親に会うのも年に1回とかになりがち。
- 親の健康問題や老いを考えると、会える時に会って時間を作ることが大切。失ってからでは遅い。
- 日本だと、介護の8050問題が取り上げられたりするが、アメリカでは50代で特に増えているとかはなさそう。この統計の限りでは。
友達:16歳ぐらいがピークでその後下がる
- 何を持って親友と定義するかは人それぞれだが、データによると、中学高校の時はそのコミュニティで友達と過ごす時間が多いが、その後、社会人になると友達と過ごす時間は減っていく。あと、一方が結婚したり子供ができたりして、ライフステージがバラバラになると、会った時に出てくる話題が変わったりして、疎遠になってしまうというのもある。また、時間を合わせるのが難しくなり連絡を取らない状態が続くと、徐々に疎遠になり、連絡しづらくなり、それでまた疎遠になるという負のスパイラルに陥る。
- 仕事で忙しいとしても、旧友や親友とは定期的に時間を作って会っておきたい
同僚:25-60歳まで多くの時間を一緒に過ごす
- 25-60歳までの働いている時間の多くを過ごすことになるので、どんな職場で誰と働くかはとても大事。
- その一方で、退職すると、当たり前ではあるが、同僚と過ごす時間は急速に減っていく。大多数において、仕事の「キャリア」は、晩年にはなんの意味もなさない。自分の中で、自分はこれを成し遂げた的な納得感を持たせるものになるであろう。
- 今は終身雇用も変わりつつあるが、仕事一筋で一つの会社で勤め上げても、定年後は、当然のことながら肩書きもなくなり、一人の人間に戻っていく。ただ、定年直後はそのギャップによる虚無感に苦しみやすい。内館 牧子著「終わった人」などが、定年後の虚無感と葛藤をリアルに描いていて面白い。
- とはいえ、この調査は2010年度のもので、「人生100年時代」「ライフシフト」という考え方も出てきていることから、今後は、coworkersという概念が減ってきたり、プロジェクト単位で一緒に仕事する時間は60代を超えて70代とかまで伸びてくるかもしれない。
ちなみに、想像より早く訪れるキャリアの落ち込みに関するブログ記事はこちら。定年は60歳だとしても、キャリアの落ち込みは30代から40代と想像以上に早期から始まるので、そちらも対処しないといけない。なんて残酷。。。
子供:35-40歳をピークにしてそこから急激に減少
- アメリカ人全体の平均を示しており、子供のいない人によって平均が引き下げられるため、子供がいる人の場合、子供と一緒に過ごす時間はさらに長くなる。
- 子供が小さい時期(0-10歳くらいまで)に一緒に過ごせるのは魔法のような時間で、そのあとは、子供も自立ていき学校の子供達と遊ぶようになるので、その時に「あの時もっと一緒に遊んだり旅行したりしておけばよかった」と嘆いても取り戻せない。
- 「仕事が忙しい」と言っていると、子供と過ごせる時間はあっという間に過ぎてしまう。
パートナー:晩年になるにつれて増える。
- 30代から60代までは横ばいで、その後増加。これは、60代半ばで平均的には退職することを考えると当然のこと。同僚と過ごしていた時間が、パートナーと過ごす時間に置き換わっていく。
- 誰とパートナーになるかはとても重要。
- 子供がいる場合、子育て中はなかなか2人の時間を作りにくいが、子供が巣立った後、特に退職後は2人の時間が増えるので、旅行したり2人の時間を楽しむことも可能。後年においては、パートナーとの時間が生活の中心となるため、より重要になっていく。
仕事と家庭の両立の重要性
- 30歳〜60歳までにおける、パートナーと仕事の同僚に割いている時間を見ると、どちらも200分ほどと同程度。どちらも重要である。
- あと、見落とされがちなのは、60歳を境にパートナーの時間は増えて、仕事の時間は減るという点。長期的にみたらパートナーの方がやはり重要そう。
起業家(に限らないが)の、仕事を優先し過ぎてしまったあまり、家庭が崩壊するというあるある事例を臨場感たっぷりに解説した本、「成功者の告白」はこちら。カリスマ経営者の家庭が崩壊している例は非常に多い。マスコミは、カリスマ経営者の光の部分だけを報道する。
1人:40歳を超えると死ぬまで単調増加
- 1人の時間で何をして、いかに有意義に過ごすのか、はとても大切。特に晩年においては。
- 2020年時点で、89 歳以上のアメリカ人の 10 人に 4 人近くが一人暮らしとのこと。おそらく日本はもっとだろう。
- 人間は最終的には1人なので、1人で過ごす時間をいかに楽しめるかは重要。20-30代で一人で楽しめる趣味や興味を探し、40歳からの一人での時間が増える時期に備えておくことも重要。
- 1人で過ごす時間だけ、縦軸の目盛りが2倍なので、他の時間よりいかに多くの時間を『1人で過ごす時間』に費やしているかが分かる。
振り返ってみて
個人的には、子供と過ごす時間が思ったよりも少なくてビックリした。子供は思ったよりも早く自立していくんだなと。仕事が忙しいなどと言っている場合ではなさそうだ。
親子を描いたCMで、個人的に好きなCMがこちら。148秒をワンカットで撮影した撮影の裏側もyoutubeに載っているのでオススメです。このCM見ると、子供の成長がいかにあっという間かが伝わってくる。あと、10歳くらいには、すでに思春期に入り(女子が早いというのもあるが)、父親が話しかけてもスルーされるという現実も綺麗に描かれている(子供と過ごす時間が40歳から急速に減っていくという先ほどのグラフにもつながる)。
あと、40歳から1人で過ごす時間が単調増加で伸びているのにもビックリ。自分を知り、1人の時間を楽しめる方法(興味や趣味など)を持っておくことはとても重要そう。逆に1人を楽しめさえすれば、幸福という観点では最強説もあるかも。
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