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【脳波】Airpods脳波計特許出願:動的電極選択という新しいアプローチはうまくいくのか?

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AppleがAirPodsによる脳波測定に関する特許出願

2023年7月20日、Appleが出願したワイヤレスイヤホン「AirPods」のイヤピース部の電極を使った脳波などの生体信号計測技術に関する特許情報が米国特許商標庁(USPTO)の特許データベースで公開された。

https://www.patentlyapple.com/2023/07/apple-invents-a-next-generation-airpods-sensor-system-that-could-measure-biosignals-and-electrical-activity-of-a-users-brain.html

脳波(EEG)のみならず、筋電図(EMG)、眼電図(EOG)、心電図(ECG)、ガルバニック電気検査、皮膚反応 (GSR) および血液量パルス (BVP) などの生体信号をイヤホン型デバイスから測定する技術に関するもの。測定する生体信号の中では脳波が一番難易度高いと思うので、脳波が測定できれば、他は容易にできそう。

断念して事業ピボットしてしまったが、以前にイヤホン型脳波計の開発をやっていたこともあり、BCIは個人的に興味ある分野なので、今回のAppleのairpods脳波計特許の内容を見ていきたいと思う。

動的電極選択という新しいアプローチ

今回出願された特許で、個人的になるほど、面白いと思ったのが、電極を動的に選択する仕組みの部分。生体信号計測では皮膚にしっかり電極を密着させないと皮膚電極抵抗が高くなってしまいノイズの影響が大きくなり正確な生体信号を測定できないという問題がある。特に脳波の場合は数十μVという非常に微弱な信号なので、なおさら。イヤホン型の場合、耳のサイズや形に個人差があり、幅広いユーザーに汎用的に適応させることが困難。

そこで、Airpodsでは、イヤピース表面に電極を多数設置して、インピーダンスレベルや周囲ノイズなどに基づいて最適な電極サブセットを動的に選択する(電極選択に関して機械学習(ML)も用いる)というアプローチで上記課題解決を測ろうとしている。

イヤホン型脳波計の開発を行っていた時の感想としては、面白いアプローチだと思うけれども、そもそもAirpodsの形状のままで上記アプローチを取ったとしても、どの電極サブセットでも皮膚電極抵抗が低いサブセットを選択できないのではと思ってしまったのだが、どうだろう?α波単体の検出ならできるかもしれない。その場合の用途は瞑想やストレスレベルの検知。すでにマインドフルネスアプリで、apple watchで似たような機能は出しているが。

出願特許内で、下記の記載がちらっと合ったので、睡眠モニタリングやてんかん検出に目を向けているのかもしれない。

The measurements of the biosignal, may thus be used to inform the user for various biosignal-driven use cases, such as a sleep monitoring or other anomalies, such as seizures.

カスタム型イヤホンではダメなのか?

完全にユーザーの耳の形状に合ったカスタム型イヤホンにして、かつ、内部から耳の皮膚に対して押し当てる機構がないと、dry電極を使っている限りにおいては皮膚電極抵抗が300kΩから下に下がりきらないのではと思う。wet電極なら容易に20kΩくらいまで下がって、精度も担保されそうだが、ユーザビリティを考えてwet電極をappleが採用するとは思えない。

カスタム型イヤホンに関しては、今回の特許出願でappleは「カスタム型イヤホンにしたとしてもユーザーの耳の形状は年齢とともに変わるので、長期的に見て最適なアプローチではない+高価になる」と述べている。

ちなみに、カスタム型イヤホンで脳波測定にトライしている企業としてNextSense社がある。 Google Xプロジェクトからスピンアウトしたスタートアップ。ここでは、アウトカムを、てんかん検出に置き、製薬会社と治験を進めている

https://www.nextsense.io/

参照電極とアクティブ電極の配置

脳波測定では参照電極とアクティブ電極で取得する電圧の差分を増幅するという点で、参照電極とアクティブ電極の2つが必要で(複数のアクティブ電極の平均を参照電極とする再参照電極というアプローチもある)、参照電極とアクティブ電極の距離を物理的に離すことが精度を高める上で重要。

今回のairpods特許では、片方の耳に参照電極とアクティブ電極を配置するversion(いわゆる今のワイヤレスairpods version)と、左右のイヤホンをワイヤーで繋いで片方を参照電極用、もう片方をアクティブ電極用とする有線イヤホンversionの2つが記載されている。

個人的にはwiredにして、参照電極とアクティブ電極の距離を物理的に十分確保しないと、脳波レベルだと測定できないのではと思う。片方の耳に参照電極とアクティブ電極を置く場合は、どの位置にアクティブ電極を配置したとしても、そもそも物理的距離が確保できないので、V_active-V_refをした時に、ほぼ全て打ち消し合って0Vになってしまい、増幅しても測定できないと思っている。

正直、実用化はまだまだかかりそうな気がするのと、本当に汎用型のワイヤレスイヤホン+dry電極で精度高く脳波測定できるのか?は懐疑的だが、appleならクリアしそうとも思うので、期待したい


appleの今回の特許出願pdfはこちら

ちなみに、Apple、AirPods製品ラインアップを2024年から全面刷新する予定らしい。

USB-Cで充電できるようにする。新しいデザインを採用するなど。

https://www.cnbc.com/2023/10/25/apple-will-reportedly-release-a-bunch-of-new-airpods-next-year.html

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