ミーアの顔のデザインの変遷
現在、方言を話すおしゃべり猫型ロボット「ミーア」を開発中。
2023年4月から開発を始めたが、2023年11月に至るまでの顔のデザインの変遷は下記のような感じ。
徐々に可愛くなってきてる(はず)と個人的には思っているのだが、いかがだろうか?
今までの各変遷において考えていたことを備忘録としてまとめておく。
まだデザインは変更過程なので、今後もさらに変わっていく予定。
一番最初の①の時でも、当時は、それなりにパーツの配置を考えていた。
- 目のディスプレイの輪郭の顔と耳の境目より目のてっぺんは下側に配置したほうが違和感がない(最初、境目より目のてっぺんを上側に配置していたが、なんか違和感あるなと思ったら、目の位置が高すぎるのかと思って修正した)
耳のデザインはなんとなくで作成していたが、今、振り返って見てみると、全体的に鋭利すぎて怖いなという印象。
①→②:上唇の輪郭を角度をつけて微修正
上唇により曲線の丸みがあった方が可愛いのではと思い、角度をつけて微修正した。
フィラメントが灰色になっているのは、単純に3Dプリンターのフィラメントの色を灰色にしただけで特に意図はない。灰色だと、ちょっと邪悪なネコ感があるので、黒猫か白猫で製品の際は出したいと考えている。
②→③:輪郭をなめらかにして、目を近接させた
この時点で、輪郭がなめらかな方が良いことにようやく気づき、よりなめらかに輪郭をしてみた。あと、目がより近接している方が(パーツが全体的に真ん中に寄っている方が)可愛いことに気づき、目の間隔を少し寄せている。
そうすることで、全体的なサイズ感もだいぶ小さくなった。幅10cm×高さ12cm→幅8cm×高さ7cmくらいに。
③→④:口をなくすことを決めた。宇宙人みたいな印象に
ここで一つ大きな決断をしたのだが、口をなくしてみても、もしかしたら目のユニークな表情だけで面白くできるのではと考え始めた。
技術的な部分でいくと、1→3では口の部分をサーボモーターを使って上下に移動させていた。フレーズを話すので、口の動きもあった方がよりリアルだし、表情もユニークになるのではと思ったからだ。あと、このサービスは、日本だけではなく英語圏の海外メインで売り出したいと思っていて、海外のキャラクターを見ると、日本と比較してリアルな感じ(むしろリアルすぎて若干怖い)なので、可愛さよりもよりリアルで表情の豊かさで勝負した方が良いのではと思っていたというのもある。
ただ、サーボモーターだと音がうるさすぎてフレーズが聞こえにくいという問題(ここに関しては、サーボモーターとDCモーターの比較記事で記載)や、下唇のゴム・シリコンライクな素材をどうやって見つけて、ラック&ピニオン機構を使って上下に移動させるかなどの問題も浮上していた。
というわけで、思い切って、口の部分を削除して、とりあえず紙を切って口として貼ってみた。口に関しては、色々な口の形のステッカーを同封してユーザーに貼ってもらってカスタマイズを楽しんでもらうのは良いのではと思い始めるように。シールなので固定で動かないが。
ちなみに、3と4は同じ輪郭(信じ難いと思うが)。3がやや斜め上から撮影していて、4は正面から撮っているので、印象がだいぶ異なっている。
④をじっくり見てみると、なんか宇宙人っぽい印象なんだけど、どうしてだろう?と疑問を感じ始めた。目と耳の輪郭が一体化しているのと、スリムになりすぎたからなのではとの結論に。
売れるキャラクターのデザインは左右非対称?
「売れるキャラクター戦略」という本を紹介される
②の時のデザインで撮影したサービス動画を、いろんな人にフィードバックをもらうために見せていた。
そのうちの1人から
「キティちゃんって、実は左右非対称なんですよね。以前に「売れるキャラクター戦略」という本を読んだことがあって、その本に書いてありました。参考になると思いますのでお時間ある際に読んでみてください」
「え、キティちゃんって左右非対称なんですか?確かにリボンは耳についているという印象はありますが、それ以外も非対称なんですね。全然気づかなかったです。」
「確か、ヒゲも微妙に非対称なんですよね。人間は完全な対称よりも、非対称のものの方が、不完全で魅力的に感じるみたいです。」
とのコメントをもらい、早速その本を購入して読んでみた。
読んでみて印象に残った部分を抜粋。
ハローキティに口がない理由
長く人々に愛されるキャラクターは「王道」で「正統的」なキャラクターの法則にのっとっているものです。ミッフィーやハローキティを想像するとわかりやすいかもしれませんね。その 頭と体の比率は、かなり頭が大きく、体は小さくなっています。
目鼻の位置も全体的に下に寄せてあり、赤ん坊や子犬子猫の顔の比率に近づけてあります。人間は、赤ん坊のような比率の顔を見ると、面倒を見たりかわいがったりしなくては! という衝動にかられるようにできているそうです。
人には、弱そうなものに手を差し伸べたくなる心理があります。だから、 完全なデザインのものよりも、不完全なデザインのものに 惹かれたり愛着を持ったりしてしまいます。人間の顔のパーツが非対称であるからという説もあります。あえて、不完全な部分や、隙を作っておくこと。
具体的には、顔のパーツが足りないとか、省略されているとか、左右がわずかに非対称であるといった、ほんの少しの工夫で、愛され度が大きく変わるということなのです。ハローキティに口がないのも、なるほどとうなずけます。
売れるキャラクター戦略~“即死”“ゾンビ化”させない~ (光文社新書)
この本は、キャラクターデザイン以外にも、長生きするキャラクターとそうでないキャラクターの違い、キャラクターのアイデアの出し方、育て方、著作権を守るための申請など、著者の具体的な経験をもとに細かく書かれていてとても勉強になった。
④→⑤:下重心にして、左右非対称に
本に書かれていた内容を思い出して、改めてキティちゃんを見てみた。
確かに、口がなく、目は生身の人間や動物と違い顔の下半分に位置している。パーツは全体的にした重心。耳と顔の輪郭部分は滑らかな一直線での一続きではなく、分かれている。
さらに、下にボテッとして重たい感じの顔になっている。
というわけで、キティちゃんを見習って、変更したのが下記。
自分で言うのもなんだが、だいぶ可愛くなったという印象。左右の耳とその下の顔の輪郭は、あえて非対称にしている。
まだ改善点がいくつかあると思っている
- 顔の表面が平べったいので、丸みを持たせるようにしたい。顔の表面を底面にして3Dプリンターで押し出し整形しているからと言う理由からだが、3Dモデリング含めて改善余地ある。
- 目をより近接させて、下に配置するようにしたい。口が要らなくなり、サーボモーターの配置で占拠していたスペースがなくなったので、目をさらに下に移動させることが今ならできそう。
というわけで、さらに改善したらその内容を追記したいと思う。
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