はじめに
サブドメインとサブディレクトリについて、どちらがSEO的に優れているかに関しては永遠のテーマかもしれない。これらの選択がSEOにどのような影響を与えるか、そしてGoogleの見解についてまとめておく。
サブドメイン・サブディレクトリとは何か?
サブドメイン
- 独自ドメインの前に新たな文字列を追加したドメイン(例:subdomain.example.com)
サブディレクトリ
- 独自ドメインの後ろに新たな文字列を追加したドメイン(例:example.com/subdirectory)
サブディレクトリ>サブドメイン?:ドメイン権威の分散
下記の記事では、ドメイン権威の分散・キーワードの集中の観点からのサブディレクトリを推奨している。
https://blog.cloudflare.com/subdomains-vs-subdirectories-best-practices-workers-part-1
ドメイン権威の分散
- サブディレクトリを使用することで、メインドメインからの権威を引き継ぐことができる。すべてのサブディレクトリはメインドメインの一部と見なされるため、メインドメインが持つ信頼性やランクを共有することができる。リンクジュース(バックリンクから得られるSEOの価値)の分散が少なくなります。
- 一方で、サブドメインは独立していると見なされるため、メインドメインからのリンクジュースがサブドメインに直接的に流れない場合があるか、サブディレクトリの時ほど強固ではない場合がある。
キーワードの集中
- サブディレクトリ戦略はキーワードを単一のドメインに集中させるが、サブドメイン戦略ではキーワードを複数の独立したドメインに分散させる。これにより、サブディレクトリを使用する方がルートドメインの権威が高まる。
あるSaaS製品の販売促進を目的としたウェブサイト構成の例を、サブディレクトリ戦略とサブドメイン戦略を用いて比較してみる。
SaaS製品の販売促進目的のWebサイト:サブディレクトリ戦略の場合
ウェブサイト構造:
- 製品購入ページ:
example.com/product
- キーワード: オンラインコラボレーションツール、SaaS製品購入、チームコラボレーションソフトウェア
- ITブログ:
example.com/blog
- キーワード: ITトレンド、SaaS製品レビュー、テクノロジー革新
戦略の利点:
- ブログから製品ページへの内部リンクは、製品ページの権威と可視性を高めることに直接貢献する。
- ブログが外部からのリンクを獲得すると、それがウェブサイト全体のドメイン権威を強化し、製品ページのランキング向上にも寄与する。
- SEOの努力がウェブサイト全体で共有されるため、製品ページへのトラフィック増加につながる。
SaaS製品の販売促進目的のWebサイト:サブドメイン戦略の場合
ウェブサイト構造:
- 製品購入ページ:
product.example.com
- キーワード: オンラインコラボレーションツール、SaaS製品購入、チームコラボレーションソフトウェア
- ITブログ:
blog.example.com
- キーワード: ITトレンド、SaaS製品レビュー、テクノロジー革新
戦略の利点と制約:
- ブログ(
blog.example.com
)が高い権威を獲得しても、その権威は主にブログ内でのみ有効で、直接的にはproduct.example.com
の権威向上には寄与しない。 - ブログと製品ページ間のリンクはユーザー体験を向上させるが、サブディレクトリ戦略ほどのSEOメリットは得られない。これは検索エンジンはサブドメインを独立したエンティティとして扱う傾向があるため、外部サイトからのリンクと似たように扱われ、同一ドメイン内のリンク(例えば、
example.com/blog
からexample.com/product
へのリンク)ほど強いドメイン権威の伝達が見込めないため。 - 各サブドメインで独立してSEO戦略を展開する必要があり、労力が分散される。
スタートアップや小規模ビジネスがSEOを最適化したい場合は、サブディレクトリを使用することを検討するべきだと結論付けている。大企業でない限り、またはシリーズ C ラウンドの資金調達を終えたばかりでない限り、サイトを多数のサイロにサブドメイン化することは SEO に役立たないと。
果たして本当か?
Googleは何と言っているか?
ちなみに、Googleはサブドメインとサブディレクトリは Google Botの目には同等と明言している。つまり、サブディレクトリもサブドメインも検索結果のランキングの観点で同じとのこと。
これは、サブドメインを別個のエンティティとして扱う一方で、適切な内部リンクを使用すると、サブドメインが同じWebサイトに属していることを明確にすることができ、メインドメインとそのサブドメイン間の関係を識別して認識できるようにGoogleのアルゴリズムが進化したことを意味している。
海外市場へ展開する時はサブドメインが良いのか?
例えば、アメリカを拠点とする企業で、元々のウェブサイトは英語で構築されているが、ドイツ市場に進出することを決定し、ドイツ語を話すユーザーに特化したコンテンツを提供したいと考え他場合。
まず、英語のキーワードはドイツ語の検索では上位にランクされないため、サイトをドイツ語に翻訳して、新しくドイツ向けのサイトをサブドメインとして0から構築するのがよいのか?
これも一概には言えない。
最近は、自動翻訳プラグイン(WordPressなど)も進んでいるので、そのままサブディレクトリを使用して、異なる国のブラウザから訪問した際にその言語でコンテンツを表示する戦略は、多言語サイトを効率的に運用したい場合に適している。
結論
身も蓋もないが、どっちでもSEO的には関係ない。しかし、運用のしやすさの観点から考えるとサブディレクトリの方がやりやすいかも。
リバースプロキシを活用してサブドメインのSEOパワーをサブディレクトリに統合する方法はこちら。
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