【中本】激辛ラーメンを初めて食べた結果、お尻から火を吹き胃のリカバーに3日かかった話

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はじめに

何を血迷ったか、10日くらい前の日曜日に、ふと今まで食べたこともなかった中本の激辛ラーメンを食べてみたいと思い立ち、デリバリーで頼んだ。ここ数年間、辛いものは食べてないし、得意というわけでもないのに。

予期していたが、真っ赤極まりない状態で届いた。

そして、あろうことか、口の周りをヒリヒリさせながらも、水や牛乳を全く飲まずに30分くらいかけて完食。汗が滴りながらも、激辛に打ち勝ったという達成感を感じたまでは良かったのだが、この後3日くらい地獄が待ち受けていることを、この時は知る由もなかった。

下痢になり、お尻から火をふく

自分は元々、胃腸が弱いせいもあると思うが、(下痢型IBSなんじゃないかと、勝手に自己診断している。スタバのアイスコーヒーを飲むと、決まって下痢になり3,4回トイレに駆け込むということを繰り返している。最近はアイスコーヒーを頼まなくなったが)案の定、カプサイシンで腸管の蠕動運動が刺激され、お腹がキュルキュルと鳴り始めた。

ただ、まぁ、ここまでは想定内。いつものように3,4回下痢すればおさまるでしょ、と思っていたのだが、いざトイレに駆け込むと、排便時にお尻が悶絶するほど熱くなり、痛くなった。

口のヒリヒリ感と同じような感じを肛門からも感じるなんて、人生で初めてのことで、あえて例えるなら、VIO脱毛の時のような痛みと火照り。

ラーメンを食べた時と同じくらいの苦痛を味わいながら、なんとか下痢を3回程度して、下痢は治った。

3日間胃もたれが続く

しかし、なぜか胃のムカムカが止まらず、その夜は眠れずに睡眠不足になった。次の日もその翌日も、胃の気持ち悪さが治らない。

以前、逆流性食道炎の症状が出た時に(内視鏡検査の結果は陰性だったが、症状的にはNERDだった可能性あり)ネキシウムとタケキャブをもらったことがあり、残っていたので服薬するも、逆食の時ほど、すぐの効果はなく、モヤモヤが残ったまま。

これ、明らかに中本だよなぁと思いつつ、だんだん、これ元に戻るの?と不安になり、数日間、仕事の生産性は上がらず経過したが、幸い徐々にむかつきは緩和され、4日後くらいには元に戻った。

さて、ここまでの一連の生理現象は何だったのか?

カプサイシン受容体TRPV1は、43度以上の温度でも活性化される

温度感受性 Transient Receptor Potential(TRP)チャネルは,温度のみならず多くの化学的・物理的刺激を感受するセンサーとして多様な生体機能に関わっている。

TRPチャネルはスーパーファミリーと呼ばれ、その中にはさまざまなサブファミリーが存在する。代表的なサブファミリーの一つがTRPVチャネル。この中でも特に注目されるのがTRPV1受容体。この受容体に、今回の辛味成分カプサイシンが関係している。

Science of Kampo Medicine 漢方医学 Vol.37 No.3 2013

なぜ、肛門でも灼熱感を感じたのか?

口と同様に肛門の周りにもTRPV1受容体が存在するため、カプサイシンによって灼熱感を感じたため。またカプサイシンは消化管で吸収されないため、そのまま排便時に排泄される時に肛門周囲のTRPV1受容体を活性化する。

カプサイシンとVIO脱毛の類似性?

TRPV1受容体は、以下のような刺激に対して感受性を持っている。

  • 高温:通常43°C以上の温度で活性化される。
  • カプサイシン:唐辛子の辛味成分であるカプサイシンがTRPV1に結合すると、受容体が活性化される。

つまり、レーザー脱毛では、レーザーの熱によって毛根が破壊されるが、この時、TRPV1受容体が高温によって活性化され、痛みや熱感を感じる。活性化される対象のTRP1V受容体がカプサイシンの時と同じなので、同じような灼熱感を感じたと考えられる。なるほど!

Science of Kampo Medicine 漢方医学 Vol.37 No.3 2013

なぜ、胃は灼熱感を感じなかったのか?

胃の内壁にはTRPV1受容体が少ないため、カプサイシンが直接的に受容体を活性化することが少ないから。

胃がムカムカした理由は?

TRPV1受容体を介して胃酸の分泌が促進されたため。

個人的には、逆流性食道炎の時の胃のムカムカとは似ているけれども全く同じではない感じだったのだが、事後的な対処法としては、PPI、PCAB、H2受容体拮抗薬を内服するなどになるか。

Science of Kampo Medicine 漢方医学 Vol.37 No.3 2013

乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど)はカプサイシンの辛味を和らげる効果がある。乳製品に含まれるカゼインというタンパク質がカプサイシンと結合し、口腔内や消化管での刺激を軽減するため。なので乳製品を取るといくらかは良さそう。

また、油脂類はカプサイシンの溶解を助け、辛味を和らげる効果がある。食事にオリーブオイルやバターを少量加えることで効果が期待できる

辛いものを摂取し続けて慣れるのか?

よく、辛いものが大好きで、信じられないような激辛を週何日も摂取しているような人がいるが、自分みたいに下痢で悶絶したり、胃のむかつきで悩まされたりしないのかとふと疑問に思ったので調べてみた。

まだ完全に解明されていないものの、「カプサイシン脱感作」と呼ばれる現象があるみたい。どのくらい脱感作が続くのか、可逆的なのかなどは未解明そうだが、仮にそれが正しいとすると、慣れの問題もあるのだろう。

Frontiers | The Mysteries of Capsaicin-Sensitive Afferents
A fundamental subdivision of nociceptive sensory neurons is named after their unique sensitivity to capsaicin, the punge...

かくいう自分も、学生の頃はメーヤウという、中本に負けずとも劣らずの激辛カレーを週2-3日くらいで食べていたが、当時は特になんともなかった。

辛味成分による持続刺激で、刺激に対する感受性が低下し、胃酸分泌も抑えられて、胃のむかつきも生じにくくなっているのかもしれない。

おわりに

個人的にはTRPV1受容体が、口だけではなく肛門にもあるので、同じ灼熱感を感じること。そしてTRPV1受容体はカプサイシンだけではなく、43度以上の高温でも反応するので、高温時と同じ感覚が誘発されることは衝撃だった。

食べる時だけではなく、排便時も辛い思いするなんて、なんてダブルパンチだと思ったので(最近辛いものを食べていなかったのと、加齢で消化管が弱ったこともあるだろう)、中本を悪く言うつもりは毛頭ないが、今後辛いものは摂取しないようにしようと決めた。

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