はじめに
言語化力が高い人の特徴とは何なのか？
独断と偏見で備忘録的にまとめておく。
言語化力とは何か？
ここでは言語化力を、言葉にする力、つまり「頭の中で考えていることを言葉に変換し、さらにそれを相手が理解しやすい表現で伝える力」と定義する。
個人的には3つの構成要素からなると考えている。3つのプロセスのどこか1つでも欠けると、言語化力が高いとはならない。
- １）考えを整理する：まず自分の考えを整理できていないと、自分でも自分が何考えているか分からないので、相手に伝える土台に立てない。
- ２）整理した考えを言葉に変換する：まだ人間はテレパシーができないので、整理した考えを言葉に落とし込まないといけない。写像に近いイメージ。
- ３）相手に伝える：「あの人、言語化力が高いよね」という評価は、当たり前だが、受け手である相手が感じるものであって、評価する相手に適切に伝わらなければ意味がない。
よく言われる、「言語化力を高めるために、読書して語彙力をつけましょう！」は一部正解ではあるが、あくまで上記3つの構成要素のうちの2番目を鍛える必要条件であって、十分条件ではない。
また、ビジネスの文脈での語彙力の場合、携わっているビジネスの専門用語を定義や前提含めて理解している語彙力が必要であって、巷で言う小説を読んで一般的な語彙力をさらに伸ばすのは、ビジネスでの言語化力を高めるという点では努力の方向性がやや違うと思う。正確には、直結せずに回り道なので非効率（超、独断と偏見）。
本や映画の感想、コピーライターなどでは、より感情面の共有や創造的な表現力が必要という文脈では、豊富な語彙力が必要だと思う。
言語化が上手い人は、頭の中どうなっているのか？
構造的に物事を理解できる
言語化能力の高い人は、頭の中で知識や情報を構造化し、全体と部分の関係を理解している。断片的な知識をそのままにしていない。木を見て森を見ず状態になっていない。
余談だが、情報を構造的に整理することは、整理する段階では頭を使うが、その後の情報の取り出しという観点ではメモリ効率化になるので、脳のキャパ的にも有用。意識的にやった方が良い。逆に意識しないと優先度低くなりがち。
情報の構造化（チャンキング）に関しては、こちらの記事で以前記載した。
情報の優先順位をつけられる
- 構造的に物事を理解できた上で、膨大な情報の中から重要なポイントを見極め、優先順位をつけられる
- すべての情報には同じ価値がないため、情報の選別と優先順位付けが必要。しかも、これは情報を伝える相手の関心ポイントによって異なる。
例えば、自分がやっていたメルプWEB問診という、オンライン問診サービスを病院に導入しようとする際には、説明対象となるステークホルダーが様々いて、それぞれ関心事が異なるので、相手の興味関心に合わせて、情報の優先度を変えて伝える必要がある。
- 経営者（院長）向け：いままでの紙問診と比較してどれだけ電子カルテへの転記が減って、人件費削減につながり（メリット）、それが導入コストと比較してどうなのかを端的に説明して意思決定を促す
- 医療事務向け：従来の紙問診の時の比べて業務がいかに楽になるか（実際に業務を行う人たち）＋ラーニングコストも高くない
- 情シス向け：セキュリティ的にいかに安全か＋導入メリット
情報は全てを正確に伝えることが重要なのではなく、相手にとって不要な情報を意識的に事前に考えて、省くことが重要である。人間は、そんなに長く集中力は持続しないし、自分が興味あることしか聞かない。
相手に合わせて抽象度の上げ下げをした上で、必要十分な説明を行う
- 言語化能力は、相手の理解力や背景に合わせて情報を伝える能力も含む。
- 手法としては、例え話を使う、前提・定義を揃えるなど
自分が説明をしている最中に、相手の仕草や反応から、今理解しているかどうかを感じ取り、リアルタイムに説明の具体と抽象の上げ下げをすることが求められる。
これは非常に高度で、最初のうちは「これを相手にうまく伝えなきゃ」と自分にのみフォーカスが当たるのは誰しもそうだが、慣れてくると余裕が出てくるので、次の段階では、自分ではなく相手の反応や理解力にフォーカスを向けて、説明の抽象度を動的に変える。
例）SEO戦略について経営陣に説明する場合
あなた: 「SEO対策として、今までのサブドメイン構造をサブディレクトリ…..」
マネージャー:（眉をひそめるなどの困惑の表情を示す）
あなた: 「（あ、、サブドメインが何か知らない感じだな。説明を付け加えよう）サブドメインとは、ドメインの前に文字列を追加したもので、今のsub.example.comのようにexample.comのドメインの前にsubがついているものです。一方サブディレクトリとは、example.com/subとドメインの後に文字列を追加したものです」
事実と意見を区別して話せる
これは、その通りという感じなのだが、「なぜ事実と意見を区別して話せない人がいるのか。」に関して、下記記事が面白い観点から説明していた。
https://blog.tinect.jp/?p=62453
「昨日の営業、途中退席してごめん。お客さん、ウチに依頼するか、決めてくれた？」
「大丈夫だと思います。」「大丈夫って……決まったのか、決まってないのかが、知りたいんだけど。」
「あ、まだ決まってないです。」「そうか、決まるかなと思ってたけど……。お客さん、何か懸念事項について言ってた？」
「金額について不満そうでした。」「もう一度聞くけど、不満だと「言った」の？」
出典：なぜ「事実」と「意見」を区別して話せない人がいるのか。
「いえ、たしか……言ってないかと。」
事実と意見を区別して話せないのは、「人は、出された質問が難しいと、それを簡単な質問に置き換えてしまう」という人間の脳の作りによるから。
そして、これは「賢さ」というよりも「注意力」の問題なので、直すことが可能と、記事の著者は述べている。注意力を働かせて「回答しようとしたことをチェックする訓練」を最初のうちは時間をかけてでも行う。
いきなり、会話でやろうとすると、注意力を働かせる時間がないので、まずは紙に書き起こすところから。
報告がわかりにくい時 → 「結論から言って。」
出典：なぜ「事実」と「意見」を区別して話せない人がいるのか。
話がまとまっていない時 → 「これに書いてみて。」
上司やお客さんに大事なことを伝える時 → 「言葉にこだわって。」
記憶があいまいな時 → 「会議や営業の記録は必ず当日中にまとめなさい。」
こちらの動画も参考になった。
言語化力を高めるには？
いくつか方法はあると思うが、個人的には、構造的に物事を理解できないと場当たり的な説明になってしまう問題が大きいと思う。
なので、自分がやっている仕事の、全体からの立ち位置を把握することに焦点を当てるのが重要と感じる。例えば、マーケティングの施策の一環として、SNS広告を運用している場合は、まずマーケティング手法としてオンライン・オフライン含めてどんな方法があり、それぞれの特徴を把握。これは該当する本を読んだり、web記事を漁るでも良いと思う。
各手法を把握した上で、なぜ今SNS広告をやる必要があるのか（基本的には他の手法よりCPAが低いことが理由になると思うが）という全体と個別の関係を把握。すると説明が自ずと全体から具体へと構造化される。
そして、SNS広告と言っても、FB, X, Tiktokなど様々ある中で、なぜ今TikTok広告をやるのか、それは、今回の商材のターゲット層がXX代なのでTikTokが相性が良く、また他社の似たようなサービスのプロモーション事例でも成功している などとさらに具体化していく。
一朝一夕では身につかないと思うので、コツコツ頑張ろうと思う。
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