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【EQ】心の知能指数を高める習慣。マネージャー以降は肩書きとEQは反比例!?

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はじめに

以前、こちらの記事でIQに関して記載した。

その流れで(?)、EQに関しても興味を持ったのでこちらの本を読了。今まで「EQ=共感力」と捉えていたのだが、自分の認識が狭義であることを自覚させられた。

心の知能指数を高める習慣
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)

ちなみに本書で述べられているEQスコアリングはこちら。ぱっと見、巷で言うところの共感力のみに関する質問項目ではない。一時期話題になった、やり抜く力(GRIT)なども本書ではEQに含めている。

心の知能指数を高める習慣 三浦将 (著)

EQとは?

EQはEmotional Intelligence Quotientの略で、IQの前にE(Emotional)がつく。

本書ではEQを下記のように定義している

EQは、自分自身と他者を理解しながら、自分の感情をコントロールすることで、最適な行動を取ることができる力

心の知能指数を高める習慣 三浦将 (著)

なるほど、いわゆる共感力のみの狭義の概念ではなく、もっと広義の概念であるらしい。

そして、IQとの比較で下記のように述べている。

EQは、ビジネスの成果と深い関連性を持ち、この差が大きな年収レベルの差をも生み出すと言われています。そして、その影響は、頭の知能指数であるIQよりも断然に大きいということがわかっています。

IQは非常に重要な能力ですが、IQだけでは、対応できることが、答えがある問いの範囲に留まってしまい、答えがない問いを解決していかねばならない場合に必要な探究能力までには至りません。 EQがIQに加わることで、私たちの知能は、知性へと昇華していくのです。

心の知能指数を高める習慣 三浦将 (著)
心の知能指数を高める習慣 三浦将 (著)

EQ>IQの年収レベルの差に関しては、情報源が記載されていなかったので本当のところは分からないのだが、どんなに優秀な人でも、ひとりで挙げる成果には限界があるので、多くの人間に「一緒に仕事がしたい」と思わせる人(本書ではEQを高めると、人との関係性を高めて集合知を作り出すことができると述べている)の方が年収も高くなりそうである。

そして、「EQは後天的に高めることができる」とのこと。
ここに関しては、個人的には、EQを後天的に高められるかどうかは条件付き、だと思うのだが割愛。

なぜEQが上がらないのか?権限とエゴ

EQは後天的に高めることができる一方で、下がることもあるとのこと。

その理由として挙げられている2つが、「権限」と「エゴ」。

権限:マネージャー以降は肩書きとEQは反比例

まず権限については、面白い調査結果があり、EQと肩書を比較した場合、マネージャークラスが最も高くその後は、肩書きが上がるにつれてEQが下がっていく傾向がみられたとのこと。

ポジションが上がり、権限を持つようになると、そのポジションパワーだけで、部下や他部署の人たちが動いてくれるので、「他者の感情を読み取る」ということに怠惰になっていく。

よくいう「トップは孤独である」とは、重要な決断においては1人で決めざるを得ないことも多くなりその時点では孤独との戦いはあるものの、人との交流においては孤独になることはなく、「ポジションのせいで孤独になるのではなく、人との関係性において、勘違いし始めるせいで孤独になっていく」と看破している。

心の知能指数を高める習慣 三浦将 (著)

エゴ:恐れ→エゴ→EQ↓

エゴもEQを下げる要因になる。

エゴとは自分本位な態度や行動であるが、その裏側には「恐れ」がある。プレッシャーやストレスが過度になると、自分自身や未来に対して恐れを抱くようになり、それを回避しようとしてエゴイスティックな態度や行動をしてしまう。

例えば、ポジションが上がって、リーダーシップを発揮しなければ、と思っているのにその自信がない場合、周囲からリーダー不適任と判断されてしまうのではという自分自身に対する恐れから、それを回避しようとして、強いリーダーを演出しようとして、高圧的になってしまうなど。人のことを考えている余裕がなくなり、EQが下がる。

EQを高める4ステップ:自己理解→感情管理→共感力→人間関係管理

EQを高める4ステップとして、下記が挙げられている。順に見ていく。

心の知能指数を高める習慣 三浦将 (著)

Step1(自己理解):感情日記を書く。感情に対して評価をしない

他人のことを考えられるようになるには、まず自分が整っていないといけない。いきなり共感力を鍛えようとするのではなく、まず自己理解から始めることが重要。

ただ、自己理解というと概念は広く、自分の価値観や、思考/行動の癖、ストレス時の向き合い方など多岐に渡るが、ここではまず「自分の感情を見える化」することに焦点を当てている。そしてその具体的な方法として、「感情日記」を記録することを挙げている。

感情日記

  • できるだけ毎日、1日の終わりに、感じた気持ちについてだけを具体的に書く
  • 感情の強さを1-10(とても強い)でスケーリングする
  • 1回の量は問わない。1行でも良いし、書きたいときは数ページでも良い
  • 書いてある自分の感情にいちいち良い悪いといった評価をしない
  • 反省や振り返りは記載しないか、別のノートに記載する(反省や振り返りモードに入ると、感情に良い悪いの評価が入ってしまうため)

感情日記の具体例も記されていた。

「『これぐらいのことは、ちゃんとやっておいてくれよ』と上司に言われてしまった。期待に応えられていない焦りとともに、取り組んでいることを「これぐらいのこと」と言われたことへの怒りが入り混じった思いを感じた。何か軽くみられているような気がしてならない。かなりどんよりとした怒りと嫌悪感がある。 感情の強さ7」

心の知能指数を高める習慣 三浦将 (著)

上記のように記載した感情に対して、評価をしてしまう、例えば「そんなことで嫌悪感を感じてしまう自分はよくないな。直さないと」などと記載するのはダメ。

ネガティブな感情を抱くこと自体はダメではないので、それに対して自分で評価を下すと、自己否定につながりやすい。ポジティブな感情もネガティブな感情もありのままに言葉として記載することで、「感情を起こす自分」とは別に「その感情を第三者的に俯瞰している自分」を作り出すことが重要であり感情日記の目的。そうすることで、感情を一歩離れてニュートラルに見れるようになり、自己否定が減ってくる。

どんな感情を抱く自分でも、これでいいんだという自己受容に繋がり、自分自身との信頼関係が高まってくる。

Step2(感情管理):隙間を作り、サル的反応からの脱却

Step1で自己の感情理解を深めたら、次は、外界からの刺激とそれに対する反応の間に隙間を作る練習をするようにする。

先ほどの自己の感情表出のデータベースが蓄積されるようになると、「こういう状況だと自分はこういう感情を出しがちなんだな」と自分の刺激に対する反応パターンが分かるようになってくる。

感情は、脳が瞬間的に作り上げる予測から起こる反応。人は、これまでの人生経験から感じたことから予測パターンを作り上げている。なので、予測パターンを把握し、制御すれば、感情をコントロールすることができる。

心の知能指数を高める習慣 三浦将 (著)

というわけで、自分の感情データベースがある程度できるようになったら、刺激に対して即反応するサル的行動から、「あ、自分は今この状況に対して嫌だと思っている→嫌だと思っている自分がいる(俯瞰的な別の自分)→なんでだろう→そういえば、これは過去のあの時と同じだな。→こう対処しよう」と隙間を作る反応に変化できる。

本書では述べられていないが、怒りという感情に関しては、下記も有用と思う。

  • 衝動的な怒りは6秒しか続かない(ということを知っておく)
  • まず深呼吸する。呼吸に集中する→その後すぐに感情のメタ認知に切り替えて実況中継モードに入る(どうして自分は怒りを抱いてしまったんだろう?と)

経験的には、怒る時の7割は自分のせい(相手や外界に対して怒りが向いているが、実は相手は写し鏡であり、自分の痛いところを指摘されて怒っていることが多い)である。

残りはミスコミュニケーション(認識齟齬)がほとんどで、テキストのやり取りの場合はテレカンに切り替えるなど方法はいくつかある。

本当に理不尽で自分のせいではないというのは5%もない。言うは安く行うは難しであるが。

Step3(共感力):「わかる。わかる」から「わかりたい」へ

EQ向上のための3つ目は「共感」。

「わかる。わかる」の共感ではなく、「わかりたい。わかりたい」という他者理解への態度が重要。

心の知能指数を高める習慣 三浦将 (著)

重要なのは、相手に共感できている事実よりも、相手のことを理解しようとする態度を持っていることであり、「わかる、わかる」の共感は話している相手よりも、共感している自分自身に意識が向いてしまっていて、これでは相手の本当の気持ちを理解することはできない。

本書では述べられていないが、下記対応になるか?

  • わかる。わかるの共感:情動的共感
  • わかりたい。わかりたいの共感:認知的共感(少しニュアンスが異なる気はするが)

Step4(関係性を高める):建前ポジティブからの脱却

EQを高める最後のステップは、関係性。

特に、建前でポジティブから「本音でポジティブ」に、どのようにして移行するか?

心の知能指数を高める習慣 三浦将 (著)

建前でポジティブ

「ご指示をいただいたAという仕事の進め方で、何とか頑張ります」

本音でポジティブ

「ご指示をいただいたAという仕事の進め方は、自分にはうまくできないと感じています。できればBのやり方で進めさせていただけませんか」

建前ポジティブは一見無難に思えるが、これは実際には自分の望んでいることと裏腹な行動をせざるを得ず「自分を押さえて頑張る」という状態になり、長くは続かない。体調を崩したりする結果になる。

本音でポジティブとは、「自分の独りよがりなエゴを押し通そうとする態度ではなく、自分と相手の双方のためという視点を持って、率直で前向きな主張をすること」と定義している。

「ゼロ・サム状況から価値創造へ」と交渉術について述べられている部分とも、やっていることや意識のベクトルは重なる。

自分の体裁を守れるか?という恐れを超える勇気を持ち、自分や相手に焦点を向けるのではなく、相手との共通目的である、仕事の成果や達成に対して焦点を向け、その目的からの逆算思考で相手に対して接するようにマインドセットを心がける。

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