はじめに:英語学習は発音から
英語学習は何から始めれば良いか?今まで英語を教えていただいた多くの先生や本で共通して言われたのが「発音」。発音記号を読めるようになってカタカナ英語を脱出すること。
中学1年生の時の英語の先生が、最初の1学期間ほとんどアルクの発音だけをやっていて、その時は各発音記号における舌の位置や口の形を延々と解説していて、「何これ、つまんな」と思って真面目にやっていなかったのだが、今振り返るといかに重要だったかがわかる。
また、以前に記載したブログ「【学歴】コスパで考える学歴攻略法 by 藤沢数希」で紹介した本では、子供の英語学習法として
日本にいながらにして英語を身につけるにはどうしたらいいか解説していこう。 やはり本格的な受験英語の学習に入る際に、前述のようにカタカナ読みと漢文式の英文解読の方向に子供が入ってしまうことを何としてもブロックしないといけない。
コスパで考える学歴攻略法
まずは小学校中学年くらいの時点で英単語1000個を正しい発音でできるようになるところから始めるのが重要である。
と記載されている。
大人になってから知り合いから勧められて受講した「London de English」というイギリス在住の日本人講師の先生から受けたオンラインレッスンでも、発音の重要性をかなり強調されていた。ちなみに、こちらのオンラインレッスンはスパルタではあるが、とても良かった。
https://www.londondeenglish.com/
日本では大学受験においてスピーキングや正しい発音は点数として評価されない(センター試験の一番最初に発音記号の問題が2,3問出ているくらい。今はどうか分からないが)ので、受験に直結しないとなって発音記号の勉強が疎かになりがちなのと、かなり地味ということもあいまって、英語学習から敬遠されがちだと思う。かくいう自分もそうである。
というわけで、発音記号について備忘録的にまとめていく。
英語と日本語の音節構造の違い
日本語は「アイウエオ(母音のみ)」以外は、「子音+母音」。
「ン」と詰まる音を表す「ッ」を除けば、 「カ、サ、タ、ナ、ハ、マ、ヤ、ラ、ワ」 のように「子音+母音」の組み合わせで出来ている。
日本語の音節は必ず母音で終わる。つまり、子音で終わったり、子音が連続している単語はほとんどない。しかし、英語ではそのような単語が沢山あるので、そのような英単語はより意識して発音する必要がある。
例えば英語の「great」
- great [greit](英語):子音+子音+母音+子音=1音節(音節は母音1つを中心とした音の単位)
- グレイト[gu-re-i-to](カタカナ英語):子音[g]+母音[u]+子音[r]+母音[e]+母音[i]+子音[t]+母音[o]=4音節
とカタカナ英語に直すと、もれなく子音の後に母音が入るため、もともと1音節だった単語が4音節での発音になり、間延びした別の単語に聞き取られてしまう。
なので日本人の場合は、語末の子音の後や、複数続いた子音の間に、母音を入れないようにするのを意識して発音する練習が必要になる。
IPA Chart:国際音声学会が定めた音声記号
IPAは「International Phonetic Alphabet」の略で、国際音声学会が定めた音声記号を指す。
英語は母音と子音の2つに大別され
- 母音:短母音・長母音・二重母音
- 子音:無声音・有声音
にさらに分類される。それぞれ細かく見ていく。
発音記号分類:母音・子音
母音
- 発音するとき声が妨害されずにそのまま出てくる音
- a、e、i、o、uが該当する
- 母音はさらに、短母音・長母音・二重母音の3つに分類される
分類 | 発音記号 |
短母音 | ɑ、æ、ʌ、ɪ、ʊ、e、ǝ |
長母音 | ɑ:、ǝ:r、iː、uː、ɔː |
二重母音 | ei、ɑi、ɑu、ɔi、ou |
短母音:ɑ、æ、ʌ、ɪ、ʊ、e、ǝ
英語は短母音でオに該当するものがない。アイウエのみ
ɑ
- 口を、指が3本が縦に軽く入るくらい縦に大きく開く。
- 唇を丸める。丸めないと、「ア」に近い音になる
- orange / hot / got / want / what
æ
- 「エ」の口の形の横幅を変えず に、少し縦に開け「ア」と言う。ニッコリして元気 よく「ア」と言う
- 舌は平らで奥のほうも下がっている
- cat / back / man / apple / active
ʌ
- 軽く驚いて「あっ」と言った時に近い音
- 「ア」よりやや舌を高め後ろよりにして発音する
- sun / cup / love / double
イっぽい音
ɪ
- 日本語の「イ」と「エ」の中間くらいの音
- iːの時ほど、口を横に広げずに発音する
- sit / live / busy / women
ʊ
- 長母音uːとの対比で覚える
- 唇をやや丸くして「ウ」と発音するが、uːほどは唇を丸めて突き出さない
- 舌も奥で少しもり上がるが、uːほどではない
- 日本人には「オ」にも聞こえる音
- book / look / pull / could
e
- 日本語の「エ」とほぼ同じ音。普通に「エ」と言う
- bed / pen / bread / any
ǝ
- schwa(シュワ)と呼ばれ、ストレスのない母音の多くで発音される。
- あごは半開きで、舌と唇をリラックスさせて、軽く発音する。口の中をリラックスさせた状態で音を出すと自然とこの音になる。
- about / banana / sofa / success
長母音:ɑ:、ɜː、i、uː、ɔː
長母音では、エーに相当するものはない。アー、イー、ウー、オーのみ。
長母音は途中で口の形を変えない。途中で口の形を変えると二重母音のように聞こえてしまう。
ɑː
- 「ア」よりも口を大きくあけ、奥のほうから「アー」と伸ばして発音する
- arm / father / calm / far / bar
ɜː(Jones式ではəː)
- ɜ単体で使われることはほとんどなく、主に長母音ɜːとして使われる
- ə(シュワー)と比べて少し舌を下げたときに出る音。口を少しだけ横に引っ張ってリラックスした状態で「アー」と言うのに近い
- early / bird / skirt / girl / occur
iː
- 口を思いっき り横に広げて発音する。
- see / tea / eat / feel
uː
- 短母音ʊとの対比で覚える
- 日本語の「ウー」や短母音ʊより口をすぼめて突き出して発音する。
- 音は奥の方から出る
- cool / super / food / rule
ɔː
- 短母音「ɑ」との対比で覚える。ɑは口を縦に大きく開くが、ɔːは口を突き出す。どちらも唇を丸めるのは一緒。
- 唇を少し丸め、少し前に突き出して「オー」と言う
- autumn / awful / talk / daughter / floor / pour
二重母音:aʊ、әʊ、eɪ、ɔɪ、aɪ、ɪə
一つの母音からもう一つの別の母音に自然に移っていく音
どの音も一つ目の母音に少し重点を置いて発音するが、二つ目の音も疎かにならないように丁寧に発音する
ɪə
- /r/ を発音し ないようにする
- ear / experience / here
子音
- 声が舌、唇、歯などの発音器官に妨害されて出てくる音
- 有声音と無声音に分かれる。
破裂音(Plosive):p/b, t/d, k/g
口の中で一度空気をためて、それを爆発するように空気を外に出すことでできる音
p/b
- 唇を閉じてから思いっきり開く
- pig / spain / cap
- big / table / cab
t/d
- 舌先を上の前歯の後ろにくっつけてから、舌先を離す
- ten / stake / bet
- day / pudding / bed
k / g
- 舌の奥を持ち上げて、上顎の奥に触れさせてから、舌を離す。
- 舌先は下の歯の後ろ
- key / sky / back
- game / again / bag
摩擦音(Fricative):f/v, θ/ð, s/z, ʃ/ʒ
空気を口の中に作った隙間を通すことでできる摩擦の音
空気もれのイメージで、破裂音と違い長く出し続けられる音
f/v
- 下唇の内側を上の前歯に当てて、その隙間から息を吹き出す
- fan / often / laugh
- vet / over / love
θ/ð
- 舌先を上と下の歯で軽く挟み、その隙間から息を吹き出す
- 唇を尖らせず「あひる口」を意識して唇の両端に力を入れる
- thank / author / bath
- this / mother / bathe
s/z
- 舌先を上歯茎の裏に近づけて、その隙間から息を吹き出す
- 日本語で「スープ」と言った時の「スー」の音が「s」に近い音
- sit / reset / police
- zip / busy / please
ʃ/ʒ
- 舌先を上の歯茎の裏側に近づける(s/zと同じ)が、s/zよりも舌の中央がやや盛り上がる
- 口を力を入れずにやや尖らせた状態で、「シーッ」と息を出す = ʃ、「ジーッ」と息を出す=ʒ
- 少し音がこもった感じ
- sharp / motion / fish
- vision / rouge
破擦音(Affricates):tʃ/dʒ
破裂音の後に摩擦音が続くが、破裂音と摩擦音の音をほぼ同時に発音する。
- cheque / achieve / itch
- job / reject / page
鼻音(Nasal consonants):m, n, ŋ
鼻にかけてできる音
m / n / ŋ
- m:唇を閉じて口から息が出ないようにして、鼻から息を出す。唇を離すことでmの発音が終わるので、唇を離すときはその後に母音を発音しないように気をつける
- n:舌先を上の歯茎の後ろ(t/dと同じ)にくっつけたまま鼻から息を出す
- ŋ:舌先を下の歯の後ろにさげ(g/kと同じ)、下の後ろの方で息の通り道を塞いで鼻から息を出す。最後にg/kを出さないように気をつける。
- man / empty / some
- nice / snack / son
- singer / sing
接近音(Approximants):l, r, w, j
空気の流れを完全に邪魔しない音
子音と母音の間の音。特にw,jは母音に近い発音方法で、Semi-vowels(半母音)とも呼ばれる。
l / r
- l:舌先を前歯の付け根にくっつける。日本語のラリルレロに似ている。違いは、「ラリルレロ」は舌がいったん上前歯を押してから離れるのに対し、「L」は舌先を上前歯につけたまま発音する。
- r:舌先がどこにも触れないように口の中に天井に近付け、そのまま声を出す。
- like / believe / field / bill
- ring / around / drums / trip
w / j (有声音)
w
- 口を丸めて突き出して発音
- しっかり振動させる(有声音)。振動が弱いと、日本語の「ウ」になってしまう。
- 上の前歯が下唇に当たってしまうと[v]の発音になってしまうので注意
- wet / woman / someone / sweet
j
- 発音記号はjだが、yの音。日本語のヤ行音にあたり、舌先を上顎にくっつけて、離すときに「イー」と言いながら声を出す
- year / yes / new
声門音(Glottal):h,ʔ
声門で発音する音
h
- 喉の奥にある声門を狭めて息の通り道を狭くして、その隙間から息を吹き出す。
- /h/ を発音する際には、決まった口の形や舌の位置は特になく、口の形は直後の発音に合わせて変える
- 語頭にある /h/ は、発音されないか弱めて発音される場合がある(him/herなど)
- hat / behind
個人的に、舌先を口のどこにつけるかは意識してできやすいが、舌の後ろの方を動かすのが(k, gなど)感覚的に難しい。
次は、単語から発音記号を書けるようになり、実際にその単語を発音できるようにする訓練方法を記載。自分もまだ途中なので、これが効果的かどうかは分からないが。
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