はじめに
先日、MacBook Pro をIntel Macから M3 Pro MacBook Pro に切り替えた。
今回は以前から気になっていた電源つなぎっぱなしでバッテリー劣化しないのかについて記載したいと思う。4,5年前は、バッテリー残量が20%未満になったら充電を開始して、80%になったら充電をやめるのが最も効率良いというような説を見たことがある気がするが、果たして、今はどうなのか?
電源繋ぎっぱなし運用で良いのか?
結論、電源つなきっぱなしで問題ない。ただし、Intel Macではなく2020年後期から発売されたAppleシリコンプロセッサのMacを使っている場合で、かつ、下記のようにバッテーリーの設定で「バッテリー充電の最適化をONにしていれば(デフォルトでONである)」
「はい終了」では芸がないので、その理由について記載する。
Appleシリコンプロセッサ搭載のMac一覧はこちら
https://support.apple.com/ja-jp/116943
MacBookではリチウムイオンバッテリーを使用
Mac ノートブックのバッテリーには、リチウムイオン技術を採用している。リチウムイオンバッテリーは充電が速く長持ちで、現時点では、コンピュータへの給電という目的に一番ふさわしい技術とのこと。
Appleのリチウムイオンバッテリーは、バッテリー容量の80%までは高速充電し、その後、低速のトリクル充電に切り替わる
リチウムイオンバッテリーにはメモリー効果がない
メモリー効果はニッケルカドミウム(NiCd)バッテリーに見られる現象で、部分的な放電と充電を繰り返すと、バッテリーが実際の容量よりも少ない容量しか利用できなくなるもの。簡単に言えば電池の残量が30%の状態で充電を始めると、次は全体の70%しか通常の電圧で使えなくなってしまう、という現象のことを指す。全放電を行うことである程度はこの現象は解消するが、全放電によりバッテリーそのものの寿命が縮むこともある。
しかし、リチウムイオンバッテリーはこのメモリー効果がないため、どの段階で充電しても劣化が少なく、部分充電と完全放電・完全充電の間に性能の差が生じない。この特性により、以下の理由から部分充電でもバッテリーに悪影響がないとされている。
過充電の問題を防ぐために高度なバッテリー管理システムを採用
一方で、リチウムイオン電池の劣化の原因となるのが温度と過充電・過放電。このうち過充電は電池が満充電の状態からさらに充電させるように、より高い電圧を加えることを指す。
リチウムイオン電池の特性と条件に関しては、以前こちらの記事で記載した。
つまり通常ならば100%状態で充電をするとリチウムイオンバッテリーの劣化に繋がるのだが、最新の MacBook では「高度なバッテリー管理システム」を採用して制御しているため100%状態で充電を繰り返しても過充電の問題を起こらない。
具体的には下記2つを行なっている。
- そもそも満充電にしない:「最適化充電」機能により、MacBook Proはバッテリーの充電を80%で一時停止し、その後必要に応じて100%まで充電するように調整
- 給電モードに切り替わる:充電が100%の状態で、さらに電源ケーブルを挿したまま使用すると、充電が自動的にオフになり、電源アダプタでの稼働に切り替わる
100%充電し終わった状態で、電源ケーブルを挿したままの場合「電源:電源アダプタ」の表示になり、Macを駆動するための電気を、Macの内蔵バッテリーからではなくアダプタから取得していることがわかる。
OptionキーをしながらAppleマークをクリックし、システム情報をクリック。電源の項目を見てみる
電源ケーブルを挿した状態であるが、「充電中」の項目が「いいえ」になっており、そもそも充電されていないことがわかる。バッテリーのアイコンで充電マークっぽくついているので、ずっと100%をキープしながら充放電を繰り返しているように思えるが、実際は違う。
つまり、Macの場合は過充電の心配はないと考えて良さそう。むしろ長時間利用するケースでは、電源ケーブルを挿した状態で使用したほうがバッテリーへの負担は軽減されると考えられる。
1回の充電ごとに使い切る必要はなくなった。好きなタイミングで充電して良い
バッテリー容量の100%に相当する電力を使う(放電する)と1回の充電サイクルが完了するが*、1回の充電ごとに使い切る必要はない。
つまり、完全放電してから完全充電(0→100%)する場合と、25%から75%まで50%充電を2回繰り返すのとで充電サイクルは1回で同等ということ。0%→100%を繰り返す必要はない。
まとめ
AppleシリコンのMacBookは何も気にせずに電源ケーブルを繋ぎっぱなしで良い。テクノロジーの進化は偉大である